相続Q&A【遺産分割における「代償分割」と「換価分割」の違いは?】

2025/02/18

Q 質 問

現在、兄と私(二男)で、父の遺産分割の協議を進めています。
父の遺産は、都内の実家不動産(戸建て)と預貯金1000万円程度です。
実家不動産には、兄が父と住んでおり、兄は、実家不動産の取得を希望しています。

しかしながら、都内の戸建てですので、私が不動産業者の査定書を取ると、査定額は約1億円と出ました。

反面、兄は、「そんなに価値はない」と言って、独自に別の不動産業者に査定を依頼して、査定書を出してきましたが、その査定額は、約7000万円とされていました。

私としては、あまりに両査定額に開きがあり納得ができません。

兄としては、査定額を7000万円とするなら、「代償分割」で代償金3000万円を支払ってもよいと言っていますが(預貯金1000万円は私が取る前提)、不動産時価を1億円とするのであれば、代償金は支払いきれないため、売却して、その代金を分けたい(「換価分割」)と主張しています。

このような事例なのですが、私自身が、「代償分割」と「換価分割」の違いについてよく理解していないため、二つの分け方の相違点を教えてください。

 

A 回 答

遺産の分け方には、大きく分けて、①現物分割、②代償分割、③換価分割の分け方があると言われています。

遺産分割の実務においては、この3つの分け方をうまく組み合わせて、遺産分割協議や調停を整えていきます。

「代償分割」とは、価値のある遺産(ご質問の件では実家不動産)を、相続人の一人が取得する代わりに、他方の相続人へ「代償金」を支払う内容の遺産分割をいいます。
(参考・相続コラム:遺産分割協議書の書き方(代償分割))

「換価分割」とは、ある遺産を相続人が全員が共同して(または一部の相続人)、第三者へ売却をして、その代金を分配する方法をいいます。
(参考・相続コラム:遺産分割協議書の書き方(換価分割・共有にして売却する方法))
(参考・相続コラム:遺産分割協議書の書き方(換価分割・単独名義にして売却して代金を公平に分ける方法))

「代償分割」は、次のような特徴があります(不動産の代償分割を想定して、お伝えします)。

〇 代償分割で取得した不動産は、取得した者の所有物となるため、その後の利用方法は自由(自分で使っても、貸しても、売ってもよい)
〇 代償金の算定をするために、対象となる遺産の価値を事前に決める必要がある
〇 基本的には、確定した代償金額を、確定した期限までに支払うという内容になる
〇 仮に、取得者が、その後に売却したとしても、その諸経費や譲渡所得税等の負担は、その取得者一人が負担する
〇 仮に、取得者が、その後に売却する場合には、その手続きは当然、その取得者が一人で行う

一方、「換価分割」は、次のような特徴があります(不動産の換価分割を想定)。

〇 原則として共同して、第三者へ売却を目指すことになる
〇 いつ、いくらで売却できるかは、実際に売却活動をしてみないとわからない(お金の分配は、いつ、いくらになるか売却してみないと分からない)
〇 遺産分割協議の段階では、当該不動産の価値を決める必要はない
〇 売却にかかる諸経費(測量費、仲介手数料、建物解体費など)や譲渡所得税を公平に負担することができる
〇 共同して売却する換価分割の場合には、実際に売れるまで、足並みをそろえて共同して売却活動をする必要がある

二つの分け方には、それぞれ上記のような特徴がありますので、事案に応じて、どちらの方法を取るべきかを検討して、遺産分割協議を進めていく必要があります。

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