相続Q&A【遺言書とリースバックの活用について】
2024/09/30
Q 質 問
私は、80歳で、夫は先に亡くなっています。子が3人いますが、それぞれ独立して生活しています。私名義の資産は、現在住んでいる戸建ての不動産のみです。私は、自分が亡くなるまではこの家に住み続けたいと考えており、私自身の生活は、年金で賄えます。
私の悩みは、子3人の仲がとても悪いことです。
私が亡くなったら、3人で不動産を売って、その売却代金を分ければよい、と漠然と考えていますが、仲の悪い3人が協力して不動産を売るということができるとも思えません。
最近、「遺言」や「リースバック」という言葉をよく耳にしますが、私の悩みを解消することはできませんでしょうか。
A 回 答
方策としては、次のようなことが考えられます。① 遺言書を作り、「遺言執行者が不動産を売って、その代金を子3人に均等に分ける」という内容を盛り込むこと。
② リースバックを利用して、生前に不動産をお金に換えて、住み続けること。
解 説
子らの仲が悪く、悩んでいる方が多くいます。亡くなった後に残される不動産の処分等も頭の痛いところです。通常、何の方策もせずに、不動産を所有している方が亡くなると、その不動産の権利は、子らに承継されます。
子らが皆で話し合って、不動産の処理を決めることができるのであれば良いのですが、これができないと、売却することも困難な状況になり、空き家の状態が続くことが懸念されます。
そのような場合の方策としては、①遺言書の作成や、②リースバックの利用 等の方策が考えられます。
まず、①の遺言書の作成についてご説明します。
遺言書は、生前の希望を正式に書面に残しておくものです。この遺言書の内容として、「私(遺言者)が亡くなったら、不動産は売却して、その代金を分ける」という内容にすることも可能です。
(遺言書の基礎的知識は、コチラ「遺言書の作成・その他生前対策」)
この場合には、実際に、売却の活動をする「遺言執行者」も遺言の中身に書き込むことが重要です。
このような遺言書を残しておけば、遺言者が亡くなった後には、遺言執行者において不動産を売却し、その代金を子らへ分配することになりますので、子らの衝突を避けることができます。
なお、このような遺言書を作成する場合には、諸々検討しながら作成する必要がありますので、専門家を関与させつつ作成すべきと考えています。
次に、②リースバックの利用という方法も考えられます。
「リースバック」というと難しく聞こえますが、リースバックとは、要は、リースバックを行っている会社に、自宅を買い取ってもらい、それと同時に、その会社から自宅を賃貸する、という方法になります(自宅を売って、借りる)。
自宅の名義は、買取った会社名義になりますが、売るのと同時に借りて住み続けるので、傍から見ると現状は何も変わらなく見えます。
自宅を売ることで、大きな老後資金を得ることができる点も魅力と言われています(自宅は借りることになるので、もちろん毎月の家賃が発生します)。
本件のご相談について言うと、自分が亡くなった後に子らで協力して不動産を売ることは難しいため、親が生前に売って、分けやすいお金に代えておくということになります。
なお、この場合でも、最後に残るであろう現金・預貯金は、子らにどう分けるかという内容の遺言書は作成した方がよいことは言うまでもありません。
ご質問の件に対する方策は、その他にも色々あるのかもしれませんが、今回は、①遺言書と②リースバックをご紹介いたしました。
なお、リースバックについては、家賃を支払えなくなったら退去しなければいけないリスクや定期借家契約のリスクなどのリスクもあるようですので、信頼できる会社を選ぶ必要があり、慎重に考えてください。
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