遺留分の額を増額させる手法

2024/07/01

はじめに

相続時に、自身の「遺留分(いりゅうぶん)」を害するような遺言書があった場合、相続人の方(兄弟姉妹を除く)は、「遺留分侵害額請求」をすることができます。

この「遺留分」は、相続人(兄弟姉妹を除く)に法律上保障されている遺産の一定の割合のことを言い、具体的には、相続人の法定相続分の2分の1が遺留分となります(父母のみが相続人である場合には法定相続分の3分の1)。
(遺留分の基礎が知りたい方は、コチラをご覧ください。「遺留分の問題」

遺留分の割合は、民法で定まっているため、この割合を変動させることはできませんが、①相続放棄により相続人の人数を減らす、②相手方への生前贈与を発見する等することで、結果として、遺留分侵害額が増額することがあります。

本コラムでは、次の【前提事例】を基に解説をいたします。

【前提事例】
被相続人:父
相続人:長男、二男、三男
遺産額:6000万円
遺言書:三男に全ての財産を相続させる

 

遺留分の額を増額させる手法①(相続放棄の活用) 

まず一つ目の遺留分の額を増額させる手法は、「相続放棄」になります。

遺留分侵害額請求を考えている方は、他の相続人で、遺留分の請求に興味のない方がいる場合には、その方に家庭裁判所へ相続放棄申述をしてもらうことで、結果的に、自身の遺留分額が増額することになります。

上記の【前提事例】のケースで、「長男は、遺留分侵害額請求をしたいと考えているが、二男は、遺留分侵害額請求はしないと決めている」という事情がある場合に利用を検討します。

【前提事例】のケースにおいて、二男が相続放棄をしない場合には、長男の遺留分侵害額請求額は、1000万円となりますが、二男が家庭裁判所へ相続放棄をした場合には、結果として、子が3名から、2名のみとカウントされるため、遺留分侵害額請求額は、1500万円(法定相続分3000万円の2分の1)となります。


なお、相続放棄は、相続開始を知ってから3か月以内に、家庭裁判所へ申立てを行う必要がありますので、もし、この手法を考えている場合には、相続開始から速やかに、相続放棄をしてもらわないといけないことにご留意ください。
 

遺留分の額を増額させる手法②

次の手法としては、相手方(遺留分請求を受ける者)への生前贈与(特別受益)を発見することで、自身の遺留分侵害額を増額させることができます。

【前提事例】において、例えば、遺言書とは別に、三男に対して、2000万円の生前贈与(特別受益)がされていたことを見つけ、証拠資料を整えることができたとしましょう。

この場合には、遺産額6000万円に上記2000万円を加えて、長男と二男の遺留分侵害額請求額を考えていくため、遺産額のみで考えた場合の遺留分侵害額請求額1000万円(=6000万×1/6)から、遺産額+生前贈与(特別受益)の8000万円の1/6である約1333万円が遺留分侵害額請求額となります。
(ただし、相続から10年以内の贈与しか遺産総額へ持ち戻しできないことに注意)

 

最後に

本コラムでは、遺留分の額を増額させる手法について解説をいたしました。

遺留分の問題でお困りの方は、当事務所へご相談ください。

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