遺贈による所有権移転登記の単独申請化(令和3年民法・不動産登記法改正シリーズ)
2024/06/03
はじめに
令和3年民法等改正によって、「相続人」に対する遺贈による所有権移転登記については、登記権利者による単独申請が認められました(令和5年4月1日施行)。どのような改正があったのかを見ていきましょう。
改正点
従前、遺贈による所有権移転の登記は、共同申請とされており、義務者として遺言執行者又は相続人全員の調印(実印+印鑑証明書)が必要とされていました。この点について、相続人に対する遺贈については、特定財産承継遺言(「相続させる」遺言)との差異が小さいことから、相続開始後の所有権移転登記を促進するために、「相続人」に対する遺贈による所有権移転登記については、登記権利者による単独申請が認められました。
この改正法は、令和5年4月1日に施行されましたが、相続開始がそれ以前の相続・遺言についても適用されます(義務者の実印+印鑑証明書が取得できないため登記ができずにいたケースでも、相続人に対する遺贈の所有権移転登記申請が単独で可能となります。)。
記載例
登記の目的 所有権移転原因 令和〇年〇月〇日 遺贈
権利者(申請人) 住所 A
義務者 住所 B
添付情報 登記原因証明情報 住所証明情報 代理権限証明情報
※ 登記原因証明情報としては、遺言書、戸籍謄本等
※ 登録免許税は、1000分の4
最後に
上記の法改正は、相続人に対する遺贈を原因とする所有権移転登記を簡便に行うための法改正となります。近年、相続登記の促進の観点から、相続関連の民法や不動産登記法において様々な法改正が行われています。
この遺贈の登記もそうですが、旧法ではなかなか対応ができなかった事案でも、現行法ではうまく対処ができるケースもあるかもしれません。
相続問題でお困りの際に、是非ご相談ください。
◇ 横浜で相続問題・遺言問題に強い弁護士をお探しなら、当事務所へご相談ください!
ご予約はTEL(045-594-8807)又はメール予約をご利用ください。