遺産分割調停とは?
2024/01/22
はじめに
ある方が亡くなり(亡くなった方のことを「被相続人」といいます)、その遺産について分割協議がまとまらない場合には、相続人から、家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申立てることになります。本コラムでは、この遺産分割調停手続についてご説明いたします。
遺産分割調停手続とは?
遺産分割調停は、被相続人の遺産について、相続人間で分割協議がまとまらない場合に、相続人から家庭裁判所へ調停手続を申立てて、家庭裁判所に間に入ってもらいつつ、遺産分割の話合いを行う手続です。遺産分割調停手続では、中立・公平な立場の家庭裁判所が間に入ってくれるため、示談交渉よりも協議がまとまる可能性が飛躍的に高まります。実際に、ご依頼を受けた事案について、ほとんどの場合には、遺産分割調停手続で協議がまとまっています。
具体的には、家庭裁判所の調停委員会(裁判官1人及び家事調停委員2人)が間に入って、話を進めてくれます。
調停手続は、あくまで話し合いの手続なので、家庭裁判所が遺産分けの決定をするのではないのですが、調停委員会からは、法的な判断基準に基づいて、遺産分けが成立するよう双方を説得してくれるので、時間がかかっても合意に至る可能性が高まります。
遺産分割調停の申立て方法は?
この遺産分割調停は、相手方となる相続人の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てを行います(全国の家庭裁判所の管轄はコチラ)。申立時には、収入印紙1200円分と切手(予納郵券)が必要となります(予納郵券の額(切手の額)は、相続人の人数や各家庭裁判所によって異なります)。
その他、相続関係を示すための戸籍謄本等や、遺産の資料の提出が求められます。
(裁判所の遺産分割調停の説明はコチラ)
遺産分割調停はどのように進むのか/相手方と同席するのか?
遺産分割調停を申立てると、概ね1~2か月後に第一回調停期日が設けられます。その後は、概ね1カ月半に一回程度のペースで、第二回調停期日、第三回調停期日、、、と続いていきます。
各調停期日ごとに、家庭裁判所から、次回期日までの課題や検討事項が示され、徐々に争点を明確にし、最終的には遺産分割の合意ができるよう審理が進みます。
なお、各調停期日では、基本的には、各相続人が個別に調停室に入り、調停委員と話をします。話し終わった相続人は調停室を出て、入れ替わりで、別の相続人が調停室に入り、調停委員と話をします。
相続人全員で調停室に入り、協議をすると言い争いになることがあるため、基本的には、上記のように、交互に調停室に入り、調停委員に話をする/調停委員から話を聞くことで、審理が進んでいきます。
遠方の家庭裁判所には出向かなければいけないのか?
相手方となる相続人の住所地が遠方で、遺産分割調停が行われる家庭裁判所が遠方となるケースがあります。このような場合には、弁護士が代理人と付いている場合には、電話会議システムと言って、代理人弁護士の事務所の電話と家庭裁判所の電話をつないで調停手続を進める方法を取ることができます。
よくご依頼者の方に、「家庭裁判所が遠方になる場合、毎回、弁護士がその裁判所へ出向くのですか?日当が凄くかかるのでしょうか?」というご質問をいただきますが、毎回、調停手続きのために、弁護士が遠方の家庭裁判所へ出向くということはありませんので、ご安心ください。
なお、近年では、弁護士事務所と家庭裁判所をWEBでつないで、オンラインで調停手続を進める方法もあります。
遺産分割調停が成立するとどうなるのか?
相続人間で無事に合意が形成でき、調停が成立すると、家庭裁判所が「調停調書」という書面を作成してくれます。この調停調書には、遺産分割の内容(この不動産は誰が取得する/この預貯金は誰が取得する 等)が記載されますので、後は、この調停調書を用いて、実際に、相続登記(不動産の名義変更)や預貯金の解約手続を行っていきます(基本的に、調停調書があれば、他の相続人の協力なしに手続を行うことができます)。
以上が「遺産分割調停」のご説明になります。是非参考になさってください。
(弁護士コラム「遺産分割調停手続は弁護士に任せるべきか?」もご覧ください)
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