特別受益、寄与分の主張制限(令和3年民法・不動産登記法改正シリーズ)
2023/04/07
令和3年民法等改正によって、令和5年4月1日以降に生じる相続につき、相続開始から10年を経過した場合の遺産分割においては、特別受益・寄与分の主張をすることが難しくなります。
また、令和5年4月1より前に生じた相続については、相続開始から10年又は令和10年3月31日の遅い時期を経過すると、特別受益・寄与分の主張をすることが難しくなります。
この「特別受益」というものは、分かりやすくいいますと「相続の前渡し」と見られる程度の大きな生前贈与等のこと言い、「相続の前渡し」の趣旨ですから、実際の遺産分けの際に、その生前贈与等の額を、当該者の遺産の取り分から控除するという計算を行います。
「寄与分」というものは、被相続人(亡くなった方)の財産の維持・増加に特別に寄与した相続人がいる場合に、その特別の寄与の金額を見積もって、その相続人の遺産の取り分を増加させるという計算を行います。
以上の「特別受益」と「寄与分」の主張について、前記の期間を徒過した場合には、裁判所の遺産分割審判手続においては、主張が制限される(家庭裁判所の審判において考慮されない)という法改正がなされています(なお、裁判手続外の遺産分割協議や、家庭裁判所での遺産分割調停において相続人全員が合意するのであれば、遺産分割内容は自由に決定できることから、前記の期間を経過した後の遺産分割においても、「特別受益」や「寄与分」を考慮して、遺産分割内容を決定することができます。)。
相続が開始した後、長期間、遺産分割の手続きが行われないと、紛争に発展するケースが多くありますので、以上の民法改正もふまえて、相続手続きにつきましては、可能な限り早期に解決することが望ましいといえます。
(解決事例「十数年前の相続について、不動産の一部が相続登記漏れになっていた事例」)
(解決事例「先々代の名義になってしまっている不動産を名義変更して売却までつなげた事例」)
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(参考・改正後民法)
(期間経過後の遺産の分割における相続分)
第九百四条の三 前三条(※特別受益及び寄与分の規定)の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
二 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。