古い相続を調停・審判・訴訟を利用して土地の任意売却まで行った事例
事 例
30年前に父が亡くなり、20年前に母が亡くなった相続で、土地と建物が未だに父母の名義のままとなっていました。
この不動産は、犬猿の仲となっている二女が一人で使用していました。
さすがに、そろそろ不動産を処分(売却)したいということで、長女が相談にいらっしゃいました。
この不動産は、犬猿の仲となっている二女が一人で使用していました。
さすがに、そろそろ不動産を処分(売却)したいということで、長女が相談にいらっしゃいました。
遺産分割調停・審判、共有物分割訴訟、任意売却による解決
弁護士へご依頼をいただいた後、まず、不動産を使用している二女に対して、「協力して売却して、売却代金は相続分とおりに分けましょう」ということを提案しましたが、二女は、全くこれに応答しませんでした。
やむなく、二女に対して、遺産分割調停を申立てました。
この調停内の審理においても、二女は弁護士をつけて、売却に対して強く反対しました。
そのため、手続きは、遺産分割調停から、遺産分割審判へ移行しました。
長女にも二女にも代償金の支払い原資が無かったこと等から、裁判所は、「不動産は、長女と二女の共有とする」という内容の審判を下しました。
これで遺産分割は終了したものの、不動産名義が亡父母から、長女と二女の共有に変更しただけで、不動産の利用実態は何も変わっておらず、事案解決とはなりませんでした。
そこで、さらに、二女を被告として、「共有物分割訴訟」を提起しました(なお、二女へプレッシャーをかける意味をあり、共有不動産を二女が一人で利用していることについて、賃料相当額の賠償請求も行っています)。
この「共有物分割訴訟」は、裁判所の判決を用いて、強制的に共有状態を解消することができる訴訟です。
本件は、仮に、最終的な判決がなされた場合には「不動産を競売して、その競売代金を長女と二女の持分割合で分けよ」という判決内容になる可能性が高い事案です。
競売での売却となると、一般的には、相当低額でしか売却ができないと言われており、これには双方にメリットはありません。
このような共有物分割訴訟を提起した後、訴訟とは別の裁判外の動きとして、弁護士の懇意にしている不動産業者へ声をかけて、任意での不動産売却の活動をスタートさせました。
その後、ある程度高値での買取を打診してくれる業者が見つかったことで、二女もようやく折れて、この任意売却に応じ、無事に協力して不動産を売却し、持分割合とおりに金銭分配が完了しています。
(結果的に、共有物分割訴訟は取下げています。)
やむなく、二女に対して、遺産分割調停を申立てました。
この調停内の審理においても、二女は弁護士をつけて、売却に対して強く反対しました。
そのため、手続きは、遺産分割調停から、遺産分割審判へ移行しました。
長女にも二女にも代償金の支払い原資が無かったこと等から、裁判所は、「不動産は、長女と二女の共有とする」という内容の審判を下しました。
これで遺産分割は終了したものの、不動産名義が亡父母から、長女と二女の共有に変更しただけで、不動産の利用実態は何も変わっておらず、事案解決とはなりませんでした。
そこで、さらに、二女を被告として、「共有物分割訴訟」を提起しました(なお、二女へプレッシャーをかける意味をあり、共有不動産を二女が一人で利用していることについて、賃料相当額の賠償請求も行っています)。
この「共有物分割訴訟」は、裁判所の判決を用いて、強制的に共有状態を解消することができる訴訟です。
本件は、仮に、最終的な判決がなされた場合には「不動産を競売して、その競売代金を長女と二女の持分割合で分けよ」という判決内容になる可能性が高い事案です。
競売での売却となると、一般的には、相当低額でしか売却ができないと言われており、これには双方にメリットはありません。
このような共有物分割訴訟を提起した後、訴訟とは別の裁判外の動きとして、弁護士の懇意にしている不動産業者へ声をかけて、任意での不動産売却の活動をスタートさせました。
その後、ある程度高値での買取を打診してくれる業者が見つかったことで、二女もようやく折れて、この任意売却に応じ、無事に協力して不動産を売却し、持分割合とおりに金銭分配が完了しています。
(結果的に、共有物分割訴訟は取下げています。)
弁護士コメント
本件のように、①遺産分割調停、②遺産分割審判で共有となる、③共有物分割訴訟を提起、④それと並行して任意売却を目指す、という一連の流れは、遺産相続を取り扱う弁護士事務所では、一つの典型的な流れとなります。
一つずつ解説していきましょう。
①例えば、遺産である不動産(土地や建物)があって売却したい場合、相続人全員で遺産分割協議がまとまらないときには、家庭裁判所へ遺産分割調停を申立てます。
この遺産分割調停は、あくまで話し合いの手続きですので、家裁に間に入ってもらっても合意に至らない場合には、手続きは、②遺産分割審判手続きへ移行します。
②遺産分割審判手続きにおいても、和解ができない場合には、裁判官が法律に則って、審判という決定を下します。
この審判の内容は、事案によりますが、不動産を単独名義にしたくても、その代償金の支払能力がない場合などには、相続人が共有で取得する、という内容の審判がなされることがあります。
③共有名義への相続登記を行った後に、協力して任意売却ができない状態であれば、すぐに、共有物分割訴訟を提起します。
これによって、売却に難色を示している者に対して「売却に協力しないで判決になると、競売になってしまって手取りが大幅に減ってしまう」という強いプレッシャーをかけることができます。
④共有物分割訴訟と並行した裁判外の動きとして、可能な限り高値で購入してくれる業者を探して、任意売却を目指します。共有物分割訴訟によって、「売ることに協力しないと、最終的には競売になってしまう」という手続きの枠にはめることができていますので、経済合理性を考えられる相手であれば、適正な買取額を提示してくれる買主候補が現れると、その売買の話に乗ってくることがあります。
本件についても、上記のような手続きの流れで、とても時間はかかったものの(依頼から売却まで約2年半)、最終的には二女が売却に同意し、適正な価額での売却をすることができています。
遺産相続の問題は、弁護士が全体的な流れをしっかりと把握することや、どのような解決策を構築するかで、結果が変わってきます。
相続・遺言問題でお困りの場合には、是非、当事務所へご相談ください。
(なお、本件は、あくまで実際の事例を改変してフィクションとしたものを「解決事例」としてご紹介するものです。)
◇ 横浜で相続問題・遺言問題に強い弁護士をお探しなら、当事務所へご相談ください!
ご予約はTEL(045-594-8807)又はメール予約をご利用ください。
一つずつ解説していきましょう。
①例えば、遺産である不動産(土地や建物)があって売却したい場合、相続人全員で遺産分割協議がまとまらないときには、家庭裁判所へ遺産分割調停を申立てます。
この遺産分割調停は、あくまで話し合いの手続きですので、家裁に間に入ってもらっても合意に至らない場合には、手続きは、②遺産分割審判手続きへ移行します。
②遺産分割審判手続きにおいても、和解ができない場合には、裁判官が法律に則って、審判という決定を下します。
この審判の内容は、事案によりますが、不動産を単独名義にしたくても、その代償金の支払能力がない場合などには、相続人が共有で取得する、という内容の審判がなされることがあります。
③共有名義への相続登記を行った後に、協力して任意売却ができない状態であれば、すぐに、共有物分割訴訟を提起します。
これによって、売却に難色を示している者に対して「売却に協力しないで判決になると、競売になってしまって手取りが大幅に減ってしまう」という強いプレッシャーをかけることができます。
④共有物分割訴訟と並行した裁判外の動きとして、可能な限り高値で購入してくれる業者を探して、任意売却を目指します。共有物分割訴訟によって、「売ることに協力しないと、最終的には競売になってしまう」という手続きの枠にはめることができていますので、経済合理性を考えられる相手であれば、適正な買取額を提示してくれる買主候補が現れると、その売買の話に乗ってくることがあります。
本件についても、上記のような手続きの流れで、とても時間はかかったものの(依頼から売却まで約2年半)、最終的には二女が売却に同意し、適正な価額での売却をすることができています。
遺産相続の問題は、弁護士が全体的な流れをしっかりと把握することや、どのような解決策を構築するかで、結果が変わってきます。
相続・遺言問題でお困りの場合には、是非、当事務所へご相談ください。
(なお、本件は、あくまで実際の事例を改変してフィクションとしたものを「解決事例」としてご紹介するものです。)
◇ 横浜で相続問題・遺言問題に強い弁護士をお探しなら、当事務所へご相談ください!
ご予約はTEL(045-594-8807)又はメール予約をご利用ください。